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「嫌われる勇気ー自己啓発の源流アドラーの教え」を読んで(読書感想文)

 

何度か書店で手に取って、何度か棚に戻した。

何度かページをめくって、何度か「これは」と思った。

何度かめのある日、私は「勇気」を出した。

 

「嫌われる勇気ー自己啓発の源流アドラーの教え」を読んで

きっと自分にとって躊躇するような内容だったのだ。全部読まなくてもそれはわかっていた。わかっていたから気安く手を出せなかった。元来私は影響を受けやすい。いいと思えば明日にでも人間が変わってしまうような生き物であることは自分でも十分知っていた。外界から学んで「実りの多い方を選ぶ」というのは大学生の頃自分で”決めた”ことであった。ようやく手に取った本は意外と柔らかい素材の表紙で緊張していた私に「ひょっとしたら思っているよりライトな中身かも」と頓珍漢なことを思わせた。

 

結論から書くと私はアルフレッドアドラーのことを「知っていた」

彼のことを知っていたのではない。彼の創設したアドラー心理学は確かにこの胸の中に存在するものだった。膝をついて思えばわかっていたことだった。アドラー心理学は勇気の心理学だという。まさにその存在を認める勇気がなかっただけだった。これからこの本を読む人、もう読んでしまった人、全員がこの本を読んだあと同じ気持ちになった(もしくはなる)のではないだろうか。本当は知っている。自分が勇気がなく「人生の嘘」をついて生きてしまっていることを。アドラー心理学は新しいことを学ぶ学問ではなく、もうすでに知っていてでも気づかないように避けていたことを「気づかせる」心理学なのだと思う。

 作中、哲人の「自分の経験によって決定されるものではなく、経験に与える意味によって自らを決定する」という言葉に青年は大げさなほど過剰に反応し声を荒げます。そんなのペテンだ!いまの自分の不幸や不満は過去にあったことが原因で、そのせいで自分は自信を失い、成功せず、こうして意味のない日々を送っているのだ。それは「自分のせいではない」のだと。哲人は続けます。

ライフスタイルが先天的に与えられたものではなく、自分で選んだものであるなら、再び自分で選びなおすことも可能なはずです(中略)あなたが変われないでいるのは自らに対して「変わらない」という決心を下しているのです。

変わりたいよりよくなりたいという一歩を踏み出さないのは、変わらないことで自分が「やればできる」という可能性を残しておきたいからだ、というのです。私のなかにも青年はいて、きっとあなたの心にも青年はいます。アドラーの教えは自分の現在を過去や誰かのせいにしない厳しい考えですが、それは誰の影響も受けず自分で自分のライフスタイル(人生の在り方)を選べるのだという、とても凛とした圧倒的な力がある自分を思い出させてくれるのです。

ライフスタイルを変えようとするときわれわれは大きな勇気を試されます。変わることで生まれる「不安」と変わらないことでつきまとう「不満」あなたはきっと後者を選ばれたのでしょう。(中略)あなたが不幸なのは過去や環境のせいではありません。ましてや能力が足りないのでもない。あなたにはただ”勇気”が足りない。いうなれば「幸せになる勇気」が足りていないのです。

 幸せになる勇気は、幸せになるという覚悟だと私は感じました。決めるという事だけが私達を前に進ませてくれるとも。読み進めるたびに本書の中の青年と自分の心と同じ部分が痛み、本当はどうしたらいいのか知っている知っているのにやっていない自分を晒され膝を折って震えるのでした。そして気が付くのです。「そんな自分でも、いまここは選べるのだ」ということを。

 本書の中では「では何が幸福なのか」「本当の自由とはどういうことか」「他者と自分との課題の分離」について青年と哲人の対話形式で書かれています。表題である「嫌われる勇気」とは。

人生は連続する点であり、連続する刹那である。

ぜひまだ本書を手に取ってない皆様に読んでほしい。

お銀の今年のベストオブブックになりました。

 

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