縮小する世界と反比例して増す手触り
生きれば生きるほど己の手に負える世界は広くないことに気が付くし、そう自覚すればするほど手触りのある幸せに気が付く。
慌ただしい繁忙期が終了し、やっと大幅に時間が増えた。忙しいときほどやりたいことや決めたいことが思いつくのにいざ時間が出来ると上手くスタートダッシュを決められない。なるべく自分の思いついた願いはかなえようと思うのだけれど、夏休みの宿題をいかにギリギリまでやらずに済むかを考えていたタイプであるから、大人になって多少改善されたとはいえその悪癖はなかなか消えるものでもない。残り数ヶ月、新しい環境になる前に少しでも上手になれたらきっと日常が楽しくなるだろうものを今から少しずつ進めていこう。
パスタは今年上手になれたものの一つ。でもまだ味が安定しなくて人にいつでも出せて「美味しい」と言ってもらうにはあと少し。
お菓子作りは年内にショートケーキをホールで綺麗に作るのが目標。クリスマスには。
ロールケーキは結構上手になったよ。生クリームの真ん中に果物入れてもいいよね。このロールケーキの生地なみにしっとりふわっとしたショートケーキの生地にしたい。新しい小麦粉を買おう。お菓子作りに向いてる品種の。
何十万もする指輪より小麦粉にワクワクするから仕方ない
そういう生き物だ。どこか遠い誰かに憧れることも、まして自分を憧れられたいとも思わない。手元を見れば見るほど、まだ知らないことも楽しいこともたくさんある。未分不相応なものにも不特定多数の好意にも興味はない。足りない足りないと言っているうちはその心の穴はこちらをジッと見ている。足りないと乞うほどその穴は深さを増す。その穴が心にないとは言わない。が、その穴との戦いからはもう降りたのだ。
「この街に住んでいることをもっと好きになりたかったから嬉しい」そう言えた時、私の半径3mは優しくキラキラと輝いた。もう十分ここにある、と思った。